フィラリア症
毎年来る夏の暑さは苦手です。犬も暑さは苦手ですが、それ以上に嫌なものは蚊です。
人間も犬も蚊は嫌いですが、犬にとっては死活問題で、蚊はフィラリアの原因だからです。
昔犬は屋外で飼う事が普通でした。その頃は蚊に対して無防備で、フィラリアに対しての知識はあっても深くは知らなかった時代だったので、犬の死因のNo,1だったのかもしれません。
昨今、住宅事情、生活環境の変化や犬に対する思い?が、「番犬」から「愛玩犬」に変わり、飼い主と同じ屋根の下で暮らす事が多くなっているのでフィラリアになる件数は減少していると思われます。
フィラリア症とは
フィラリア症は「犬糸状虫症」とも言い、心臓(右心室)や肺動脈の血管内に寄生し、血管の流れを妨げ心臓機能、肝臓、腎臓等に障害を起こす寄生虫症で、犬の死因の第1位と言われています。
フィラリアは犬科動物に寄生する白い糸状の虫で、成虫になるとオスは12~18㎝、メスは25~30㎝にも成る線状の長い線虫です。
フィラリアを媒体するのは、シナハマダラカ、トウゴウヤブカ、トウゴウシマカ、アカイエカ、ヒトスジシマカ等17種の蚊で、主に犬科動物に感染します。
フィラリアの感染経路
- フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア-住血子虫)を持った蚊が犬を刺して幼虫が体内に入る。
皮下筋肉内で2~3ヶ月発育する。 - 心臓の右心室(肺動脈)で3ヶ月発育し成虫になり、ミクロフィラリアを生む。(感染から7ヶ月)
- ミクロフィラリアは血液中に放出され全身に広がる。
- 犬が蚊に刺され、その蚊にミクロフィラリアが移行する。
- ミクロフィラリアは蚊の体内で第1期~第3期の約2週間を過ごす。
ミクロフィラリア第1期(0.2~0.3㎜)、第3期(感染幼虫 1~2㎜) - 蚊が犬を刺し、犬の体内にミクロフィラリアを感染させる。(①と同じ)
ミクロフィラリアの定期出現姓
ミクロフィラリアは定期的に皮膚に近い部分に現れる。蚊の最も活動する時間帯、主に夕方頃に多く特に最も多いのは午後10時頃と言われています。
ミクロフィラリアの定期出現の時期は7月~9月が最も多く、冬場に比べ約8倍と言われています。
フィラリア症の症状と予防
フィラリアに感染した直後、フィラリアの寄生数が少ない場合は症状は出ず、ほとんど分からない。
また犬の大きさにより、心臓などの大きさが異なるので症状の現れる時期に差が出る。
フィラリア症の症状
- 初期症状
- 元気がなくなり、疲れ気味、呼吸が速くなり体重が減少する。食欲が落ち、毛づやが無くなる。
- 末期症状
- 貧血を起こしやすくなり、失神、喀血、腹水、黄疸、血尿をする、右心室拡張、肺動脈前閉鎖など。
フィラリア症の初期症状で多く見られる症状は、咳き込む事が多くなりやがて元気も無くなってくる。
フィラリア症の予防
フィラリア症の治療法は無くは無いが、早期発見、早期治療が望ましい。しかし現実的には難しく、感染を防ぐ事つまり薬による予防が適切です。
予防薬による予防法も感染していたら意味が無いので、予防薬を与える前に感染しているか動物病院で調べる事を勧めます。
フィラリアの予防薬
フィラリアは蚊によって媒体されるので、蚊がいない環境で飼う事がベストです。
しかし、完璧に蚊をシャットアウトすることはほとんど不可能なので、感染予防薬を投与することで感染を防ぐ事が出来ます。
ただし、先ほども書きましたが予防薬を投与する前に、必ず血液検査を行う必要があります。
- 「イベルメクチン製剤」 カルドメック
毎月1回、ドッグフードタイプの薬で体重により薬の量が決まる。 - 「ミルベマイシンオキシム製剤」 ミルベマイシン、システック
錠剤、顆粒状の薬で、犬鉤虫(こうちゅう)、犬鞭虫(べんちゅう)、犬回虫(かいちゅう)にも効果がある。 - 「モキシデクチン製剤」 ミキシデック
毎月1回、体重により投与する量が異なる錠剤。 - 「ジェルチルカルバマジン製剤」 フィラリビッツ、サイポール
体重により投与する量が異なる錠剤で、1日に1回投与する。近年ではあまり使用されない。 - 「レバミゾール製剤」 ピカシン
体重により投与する量が異なる薬で、1日1回の投与が必要。近年ではあまり使用されていない。
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