犬の躾(トレーニング)を始める前に、現状の飼育状況を分析してみましょう。
何気なく犬と毎日過ごしている飼い主さん、「この子に躾を」と思ってみたりしてませんか?
躾やトレーニングをする前に、おそらく飼い主さんが犬との接し方を変えなければならない部分が沢山あると思います。
犬が家に来た時点から躾が始まっています。犬にとってその家の人間(飼い主)は「アルファ(群れのボス)」であり、トレーナーなんです。そのトレーナーである飼い主が間違った接し方をしていれば、最悪犬はアルファ・シンドロームに陥り手に負えなく成ってしまいます。
そう成らないように、今の犬との生活を分析してみてください。
現状の飼い方・接し方の確認
普段の接し方
出かける時や帰宅時、犬に声を掛けている。
出かける時や帰宅が確認できたら、吠える犬になってしまう可能性がある。
お散歩や犬とお出かけの時、犬が先に玄関を出入りする。
犬の歩行訓練は基本です。犬の自由気ままな行動を抑止し、飼い主が「アルファ」たる行動を取るよう心がけてください。基本的には犬は飼い主の後に出入りさせる事。
普段犬と遊んだり構ったりする。
遊びの中で飼い主が優位性を取ることで、飼い主をリーダーであると認める。
犬と一緒に出かけることが多い。
特に子犬の時は、人間や乗り物、色々な環境に慣らす意味で大切な時間となる。
問題行動を起こした時
叱り方は?
無視はダメです。基本的には威厳を持ってキチッと叱る事です。暴力はいけませんが、時と場合により力で押さえることも必要です。
叱る時、名前で叱っていますか?
名前で叱ると、名前を呼んでも来ない子になってしまいます。
食事に関する事項
食事を与える時間は決まっていますか?
食事を与える時間は、極力同じ時間に与えないで下さい。決まった時間になると、吠えたり騒いだりするようになります。
犬の食事は、人間の食事の後に与えていますか?
犬社会では、ボス犬が先に餌を食います。人間社会で生活する犬にとって飼い主はリーダーです。ボスであるリーダーが先に食事をするようにしてください。アルファ・シンドロームの原因にも成ります。
犬の性格・問題行動の診断
食欲・所有欲
犬の食事中に手を出すと怒る。
子犬の頃から、体を撫でたりして慣らしておく。餌を飼い主の手から与える。
オモチャ等で遊んでいる物を取り上げようとすると怒る。
場合にもよるが、何かで気を散らし離したら褒めるを繰り返し訓練をする。
嫉妬心は強いですか?
可愛がりすぎが原因です。威厳を持って、リーダーとして接すること。可愛がることは必要ですが、過度の愛情表現は逆効果です。
無駄吠え
普段、無駄吠えが多い。
どんな時(何故?)、吠えるのか知る必要があります。犬が吠えるのは、人間のしゃべる行為と同じです。
お散歩の時、他の犬に対し吠える。
他の犬を怖がって吠えるパターンがほとんどです。相手の犬が通り過ぎるのを、一歩引いて「オスワリ」「マテ」で待つようにします。
お散歩の時、人に対して吠える。
人間好きで吠える場合と、警戒して吠える場合があります。大半が警戒から吠える犬が多いです。相手が犬の時と同じで、「スワレ」「マテ」で気を落ち着かせる。基本的には子犬の頃から人間に慣らす事です。
来客に吠える。
警戒心からもありますが、この場合縄張り意識からがほとんどです。犬を他の部屋に連れて行くか、お客さんに褒めてもらうかご褒美など与えてもう等して改善していく。
散歩の時の行動
散歩が嫌い。
車やバイクが嫌い等や何かトラウマを持っていないか?問題の本筋を見極めて対処する。お散歩が初めての犬は外を警戒しますが、徐々に慣れてきます。
拾い食いをする。
感染症等病気の原因になりますので、やめさせましょう。リードをチョンと引き意識を飼い主に向け、「ダメ」等と威厳を持って叱る。
リードを引っ張って、先に行ってしまう。
飼い主に沿って歩くことは訓練の基本です。リードを短く持って、名前など呼んで意識を飼い主に向かせながら歩いてみましょう。
アルファ・シンドローム (権勢症候群)
家族に対して(特定の家族)吠えたり怒ったりする。
支配性の強い犬は、遺伝的なもの性格、飼い方(犬に対する扱い方)が原因に挙げられます。徹底的な無視と餌など与える時、「オスワリ」「マテ」等、服従命令をしてから与える。
場所によって、触られると怒る。
後肢や尻尾を触られると怒る、マズルに手を近づけると噛もうとする。無駄吠えなどでマズルを握って怒るとこうなりがちです。服従訓練で徐々にトレーニングが必要です。
ご主人にだけ攻撃的になる。
普段仕事で犬と向き合わないのが主な原因で、夫婦そろってご主人が主導権を握るための服従訓練を行う必要があります。
分離不安症
出掛ける時、帰宅時に吠えたり失禁する。
出掛ける時や帰宅時に声を掛け続けると吠えたり騒いだり、極端な場合失禁したりもします。声を掛けず、帰宅時はしばらく時間をおき落ち着いたら犬と接する。
飼い主の後をつけ回したり、留守番が出来ない。
極度の可愛がりすぎが原因です。犬に主導権を与えず、服従訓練を行う。犬と接する時間を制御したり、ケージなどにいる時間を増やす。
車やバイク、花火や雷の音を怖がる。
大きな音に弱い「音響シャイ」、車やバイクの音ではこれに当てはまるが、昔引かれそうになりトラウマになっている場合もある。音の治療はテレビの音量を上げて聞いたりして徐々に直していく。
「分離不安」は、大半が飼い主の犬に対する接し方(飼い方)が原因で起こる精神病です。
人間も同じですが、過度の甘やかしすぎや虐待じみた接し方をすれば、犬に良いわけ有りません。
「分離不安」は精神病なので、治療に今期と時間が必要です。家族でじっくり治療に取り組むことが必要です。
先に述べましたが、子犬が家に来た時から躾は始まっているのです。場合によってはトレーニングに預けたり、躾教室を受けたりも必要な事もありますが、それにより犬も学びますが何より飼い主が犬の飼い方を学んでほしい。飼い主が最良のトレーナーだからです。
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